姜尚中講演に励まされ

  • JAMさん
  • 2015/12/13 18:17:15

姜尚中氏の講演を聞いた。話は長崎原爆と福島第一原発事故をめぐる内容だった。

姜氏は初めに、公開されたばかりの映画「母と暮せば」の台詞から重要な言葉を紹介した。まず、原爆投下から3年たった8月9日の墓参りの場面で男が吐き出した言葉「人間のすることじゃなか」、それに、吉永小百合演じる母・伸子が亡霊の息子・浩二に諭すように言い聞かせた言葉「運命じゃなかとよ。人間が計画して行った大変な悲劇なの」を挙げたうえで、「(原爆を投下したのが)人間でなければ、神でもない、悪魔でもない。では何なのか」と会場に問いかけ、「人間を人間でなくさせているもの、それは『国家とカネ』だ」と指摘。国家のため、カネのためとなると、普通のやさしい人間も悪魔のような所業をなしてしまうとし、NPT非加盟国インドに原発を売り込んだ安倍首相にその姿を重ねていた。

そして姜氏は、映画の題名を「息子と暮せば」とすれば、母が主体となり亡霊の息子と暮す物語となるとし、生者である母が死者である息子の言葉を聴くという構図が成り立つと独自の解釈を紹介、原爆の犠牲になった死者の声に耳を澄ますこと、被爆者の体験を聴き、そして広げ伝えることの大切さを強調、核問題解決への希望を示した。

講演の最後を、被爆の実相を広げること、被爆体験の継承への努力で結んだ姜氏。核問題解決に奇策などなく、地道な先人の活動をしっかりと受け継ぎ、後世に体験を伝えることに尽きるということだろう。

本年4月、職場を去った私は長崎市に移転し、長崎市民となった。実生活上の都合は別にして、国際被爆都市・長崎の市民となることについては私なりの想いがあった。気負いとともに躊躇があった。果たして、自分のような人間に資格があるのか、可能なのか。人生の一線を退き、余生を違うフィールドに置いてみたいと思った。死者の声に耳を傾ける。姜尚中氏の講演は、及び腰の「長崎市民」の私を叱咤してくれた。


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