ジュノ・ディアス

  • area51
  • 2011/7/10 01:48:04

ジュノ・ディアス著「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」

(新潮クレストブックス)

1968年ドミニカ共和国生まれというジュノ・ディアスの初長編作にして全米批評家協会賞およびピューリッツアー賞を受賞、という。

読んだけれど。

ドミニカ共和国という国を理解しなくてはこの本を理解することは不可能だということがわかりました。
ピューリッツアー賞の定義は
「アメリカに関わるものが対象となり、文学と戯曲もアメリカの生活を描写したもののみを対象とする。作者もアメリカ人でなければならない」
というものなのらしいけれど(知ってました?)作者ジュノ・ディアスは幼少期にアメリカに移住しているからアメリカ国籍なんだろう。

でもこれってドミニカ共和国の話だよな~。しかも最悪の時代の。
いろんな人種が入り混じり、複雑な支配と独立の歴史を持つ中南米という地域の小さな国々とアメリカという大国との関係は私なんかには想像もつかない深いものがきっとあるのでしょう。

オスカー・ワオと呼ばれる主人公の男の子とその姉、彼らの母、その母。それぞれの時代に物語の章はさかのぼりまた戻りつつめまぐるしく進んでゆきます。
どの時代であっても、彼らの「民族」としての内面にあって変わらないもの、変えられないものがある。
しかしまた同時に社会体制は変化し、翻弄され運命を変えられる。

最後まで非情の連続でありながら、この物語の読後に感じたものは人間の尊厳みたいなものだった理由はなにか。
でも、結局私にはこの本を理解した実感はまるでないです。
読み方が間違っているのかもしれないけど、冒頭に書いたように「中南米」を理解(真の意味で)しなければ本当のことはわからない。
(でなければ彼らの国家は野蛮で無知で不当で暴力的で、彼ら自身もまた無知蒙昧で迷信深くて無力で性行為が最大の関心事であるという印象だけが残ることになる)

デブでアニメとSFオタクだったけどオスカー・ワオは純粋でロマンチストな男だったのだ、という結論だけではきっとこの本は終わらないでしょう。
もうちょっと考えてみたいのでジュノ・ディアスさんのデビュー短編集『ハイウェイとゴミ溜め』という本を探してみようかなと思います。




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