さよなら、トビー・フーパー

  • area51
  • 2017/8/31 19:00:54

8月26日、映画監督トビー・フーパーが亡くなった。74歳。
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1974年公開の監督デビュー作「悪魔のいけにえ」(The Texas Chainsaw Massacre)を、僕は高校生のときに映画館で(何も知らずに)観た記憶がある。たまたま上映されていたから観たといっていい。「何も知らずに」というのは、もし知っていれば観なかったかもしれないからだ。今の僕はホラーとかスプラッタ映画はどちらかと言えば嫌いじゃない。よく出来たスプラッタはむしろ好きだ。最近では「偏見と高慢とゾンビ」もその類だし、邦画の「アイアムアヒーロー」(大泉洋)や「地獄でなぜ悪い」(長谷川博已・星野源・二階堂ふみ)も十分におぞましく、面白かった。しかし、高校生の頃はそこまでスプラッタ系が好きだったわけじゃなかったので、狂気の殺人鬼がチェーンソーを振り回して次々と…という内容だと知っていれば観なかったかもしれない。
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何とも言えない殺伐さを見せるテキサスの荒野。
陽炎が漂うハイウエイを走る車。
低予算のせいなのか効果をねらったのか、8ミリで撮ったようにざらついた映像。
動機や理由なぞ問答無用の残虐さ。その凶器はチェーンソー!

こんな映画はそれまで観たことがない。

しばらくトラウマが残った。

その後、ホラー映画界ではホッケーのキーパーマスクを被った殺人鬼が湖畔のキャンプ場を襲ったり、夢の中の殺人鬼が超常的な技を駆使して現実世界で殺しまくったりするようになるのだが、「悪魔のいけにえ」の殺人鬼レザー・フェイスのインパクトは僕にとってはあまりにも鮮烈だったから、その後の殺人鬼たちにはそれほど恐怖感を持たない。

トラウマを抜けた僕は、ホラー&スプラッタ映画が嫌いじゃなくなった。
僕が映画で恐怖を感じるのは、病院の手術シーンだけになった。「悪魔のいけにえ」を『観てしまった』ことが僕の映画観を変えてしまったのかもしれない。

つい最近、ケーブルテレビの洋画チャンネルで約40年ぶりに「悪魔のいけにえ」を観たのも偶然だったが、その後すぐにトビー・フーパーの訃報が伝わった。
「悪魔のいけにえ」は、ホラー映画の金字塔だということを思い起こし、スピルバーグの「激突!」、ルーカスの「アメリカン・グラフィッティ」などと比較しても遜色のない才能をトビー・フーパーはデビュー作にして最大限に見せていたことを再認識した。

ホラー映画の何たるかを教えてくれたトビー・フーパー、ありがとう。さよなら。

「悪魔のいけにえ」予告編。よい子のみなさんは観ない方がいい。
 


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コメント

「悪魔のいけにえ」には、私にも特別な思い出があります。
大学一年の終わりに、大分県民オペラ「吉四六昇天」の東京公演が、皇太子ご一家(現天皇陛下)ご臨席のもと、東京タワー近くの郵便貯金ホールで開催されました。その際に宿泊したホテルのテレビで、何やら異様な雰囲気の映画の宣伝が放送されていたのです!特に場所が東京だったこともあり、また私のテンションも違っていたのでしょう、テレビの中に異次元が現れたようなとても不思議な感覚がありました。
これはそんじょそこらの映画とは違う!と感じた私は、映画の公開を心待にしていたのですが、実際見た映画はハンパない恐怖に満ちた傑作でした‼
うーん、残念ながらこのデビュー作品を上回る作品は、ポルターガイストにしろ産み出せなかったですね…。

  • Posted by サル
  • at 2017/09/01 13:43:00

>サルさま

「テレビで偶然観て」というのは、たまにありますね( ◠‿◠ ) 

ヒッチコックの「サイコ」を小学生の頃に一人で留守番していた時にたまたまテレビで観て、震え上がった記憶があります。
以来、誰かが椅子に座った姿を後ろから映されるとラストシーンを思い出して背中がぞわっとします( ;∀;)

  • Posted by area51
  • at 2017/09/05 12:01:47